「権利証」という言葉をお聞きになったことがあると思います。権利証は所有権等新たに権利を得た者に法務局から交付・通知されるもので、後の所有権移転登記や抵当権設定登記を申請する際に必要となるものです。正式には、登記済証又は登記識別情報といい、一般的には権利証と呼ばれています。
「登記済証」は、登記官が、登記原因証書(例えば抵当権設定契約書等)などに「登記済」の印版を押し、受付年月日・受付番号、順位番号を記載したものです。
「登記識別情報」は、英数字12桁の組み合わせによる情報を記載し、専用のシールや袋とじによって情報を隠した書面(書面ではなく、インターネットを利用して受け取ることも可能)により通知されるものです。
「登記識別情報」は、あくまで情報ですので、登記済証と異なり、書面そのものではなく、書面に記載された英数字12桁の情報のことを意味します(登記識別情報の記載された書面自体は手元にあるが、登記識別情報自体が流出してしまった場合には、他人が権利証を所持していることと同じことになります。他人が登記識別情報を見ることができないように厳重に管理をすべきでしょう)。
※改正不動産登記法(平成17年3月施行)前(改正後でもオンライン対応していない登記所)は、登記済証を交付しておりましたが、改正後(オンライン対応済みの登記所)は、これに代わり、登記識別情報が通知されることとなりました。
※改正前に交付された登記済証は改正後も使用することとなります(登記識別情報に変更できません)。
「登記済証」は登記名義人本人が所持している書面、「登記識別情報」は登記名義人本人だけが知っている情報ということになり、いずれも、所有権移転登記や抵当権設定登記の申請書に添付することにより、申請している者が登記名義人本人であること、及び本人の意思に基づいて登記が申請されていることを確認して、登記申請内容が真実かどうかを判断する機能を有しています。
【「登記済証」「登記識別情報」のポイント】
- 「登記済証」は書面であり、「登記識別情報」は情報そのものである。
- どちらも、登記名義人本人であることを確認する手段となる。
- 「登記済証」の再交付、「登記識別情報」の再通知はされない。
- どちらも、所有権移転登記や抵当権設定登記等に必要となるものなので、紛失しないように厳重に管理する。
- 登記識別情報のシールを剥がしたり、袋とじを破いて情報が露出しないように管理する。