先日主人が亡くなり、遺品を整理していたところ「遺言書」と書かれ、封印された封筒がみつかりました。封を開けて中身を確認してもよいのでしょうか?

まず、遺言書には大きく分けて普通方式と特別方式の2種類があり、今回のような封印された封筒に入っている遺言書は普通方式の自筆証書遺言と言います。自筆証書遺言は、勝手に開封してはいけません。封印された遺言書をみつけたときは、家庭裁判所に提出して相続人等の立会いのもと開封し、「検認」という手続きを経なければなりません(民法第1004条)。勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料が科せられる場合がありますので注意が必要です(民法第1005条)。

【遺言書の種類について】

『普通方式の遺言』

 普通方式の遺言は3つありますが、実際によく活用されている「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つについて、特徴等を簡単に説明していきます。

  • 自筆証書遺言とは、遺言者が遺言内容の全文、日付、氏名を自筆で書き、押印して作成した遺言です。法的要件の不備があると(パソコンやワープロで作成したもの、代筆されたものや日付がないもの等)、遺言書自体が無効になるおそれがあります。また、自筆証書遺言は家庭裁判所にて「検認」を経なければなりません。
  • 公正証書遺言とは、遺言者が口授した遺言の内容を公証人が文章にまとめ、証人2人以上への読み聞かせ、遺言者、証人及び公証人が署名・押印をして作成した遺言です。公証人が作成するので、非常に確実性があり無効になる可能性が少なく、遺言書の原本は公証役場に保管されるため、改ざんや破棄の心配がありません。また、「検認」の手続きが不要です。

『特別方式の遺言』

 特別方式の遺言とは、病気やその他の事情によって死期がさし迫っている状況にある場合、伝染病を患い病院で隔離されている場合及び船舶内などの一般社会から隔絶させている場合など、普通方式の遺言ができない特殊な状況下において、それぞれの状況に応じて法律の定める方式で作成する遺言です。

 ただし、遺言者が普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月間生存した場合は特別方式による遺言は効力を失います。

【検証とは】

 相続人に対し遺言の存在及び内容を知らせるとともに、遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など「検認」の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。