皆さん今日は、任期満了による役員変更登記について解説します。

 会社と言っても、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、特例有限会社等があります。今日は一番代表的な株式会社の役員変更登記について解説していきましょう。

 法律(会社法)では取締役の任期について「取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。」、監査役の任期について「監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する 定時株主総会の終結までとする」と規定されています。

 ただし、この規定は定款に規定によって変更することができる場合があります。

 では、実際にご自身の会社の役員の任期がいつからいつまでなのか?どこをチェックすればいいのか?A株式会社の例を見ながら、解説していきましょう!

会社登記簿謄本と定款を用意しよう。

 まずは、役員の任期がいつからいつまでなのかを調べるために、会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と定款が必要です。

 会社登記簿謄本(履歴事項証明書)は、会社の商号と住所がわかれば、法務局で誰でも取得できます。

 定款は、一番新しい定款が必要ですが、会社を設立してから一度も定款の見直しをしていないのであれば、設立したときの定款を用意してください。それも見当たらないという方は、設立から20年以内であれば、定款を認証した公証役場で定款の謄本を取得しましょう。

STEP
1

定款をチェックしよう。

用意した定款で次の項目をチェックしましょう。

  • 取締役の任期は何年か?
  • 監査役の任期は何年か?(監査役を置いている場合)
  • 事業年度がいつからいつまでか?
  • 定時株主総会を開催する時期はいつか?

定款

(商号)
第一条 当会社は、A株式会社と称する。

(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1 お菓子の製造、販売
2 前各号に附帯する一切の業務

(招集)
第16条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度終了日の翌日から3ヶ月以内に招集し、臨時株主総会はその必要がある場合に随時これを招集する。

(取締役の任期)
第24条 取締役の任期は、選任後5年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

(監査役の任期)
第33条 監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

(事業年度)
第34条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。

 定款第24条の意味はわかりやすく言うと、「取締役に選ばれてから5年以内に終わる決算を報告する定時株主総会が終わる時まで」ということです。
 では、決算の報告をする定時株主総会が終わる時までとはいつでしょうか?

 まず、決算期(事業年度)を見ていきましょう。

 定款第34条記載のとおり、決算期(事業年度)は、「毎年4月1日から翌年の3月31日まで」となっていますね。
 そして、その決算の報告をするのが、定時株主総会なので…
 定款第条記載のとおり「定時株主総会は、事業年度終了日の翌日から3ヶ月以内に開催する」となっています。

STEP
2

会社登記簿謄本を見てみよう。

 用意した会社登記簿謄本(履歴事項証明書)を見てみよう。
 会社登記簿謄本の役員に関する事項を見ます。
 役員に関する事項を見ます。役職、名前が記載されており、その横に就任した日付や登記された日付が記載されています。

※役職の横に日付が記載されていない人は、設立時に選任された役員ということです。

 下線は抹消された事項を表しています。
 現在の役員の役職と就任した日付をチェックしましょう!

商号A株式会社
本店北海道小樽市稲穂二丁目6番3号
公告する方法官報に掲載する
会社成立の年月日平成22年5月1日
目的お菓子の製造、販売
発行可能株式総数1200株
発行済株式の総数並びに種類及び数発行済株式の総数
300株
資本金の額金300万
株式の譲渡制限に関する規定当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会の承認を受けなければならない。
役員に関する事項取締役 A
取締役 B平成24年 6月20日 辞任
平成24年 6月30日 登記
取締役 C平成24年 6月30日 就任
平成24年 6月30日 登記
取締役 D平成26年 6月30日 就任
平成26年 6月30日 登記
北海道小樽市稲穂二丁目6番3号
代表取締役 A
監査役 E平成23年 6月30日 就任
平成23年 7月13日 登記
取締役会設置会社に関する事項取締役会設置会社
監査役設置会社に関する事項監査役設置会社
STEP
3

任期満了する取締役をチェックしよう。

皆さんここまでくれば、退任する役員が誰かわかったでしょうか?

 答えは、取締役Aさんと監査役Cさんです!

 では、解説していきましょう。

 会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を見てみると、取締役Aさんの欄の日付が記載されていないので、会社を設立した平成22年5月1日に就任したことがわかります。また、監査役Eさんは、平成23年6月30日に監査役に就任したことがわかります。

 取締役Aさんの任期を見て行きましょう。

 ステップ2のとおり、Aさんが取締役に就任してから5年以内に終わる決算の締め日は平成27年3月31日となります。

 一方、Eさんは、監査役なので、定款第33条のとおり任期が4年となっています。

 よって、監査役Eさんが就任してから4年以内に終わる決算の締め日も、平成27年3月31日となります。

 そして、決算の締め日から3ヶ月以内に定時株主総会を開催しなければならないので、平成27年6月30日までには、定時株主総会を開催し、その株主総会が終わる時に任期が満了するのです。

STEP
4