不動産(住宅等)を購入(新築)する際に、金融機関から融資を受ける方が多いと思います。その融資を受ける方(債務者)が、契約通りの弁済ができなくなった場合に備え、金融機関(債権者)は、残存債務を回収できるように、担保として、融資を受ける方(債務者)が購入(新築)する不動産に抵当権を設定します。

①抵当権とは

 抵当権とは、借主(債務者)から担保として提供された不動産を一方的に換価(競売)し、その金銭より債権者が自己の債権を優先的に回収する権利(担保物権)のことです。
 抵当権の設定は、お互いの意思表示だけで成立(民法176条)しますが、登記をしなければ第三者(他の債権者等)に対抗(主張)することができません(民法177条)。従って、登記のない抵当権は、自己の債権を優先的に回収することができません。また、同一不動産に複数の抵当権が設定されている場合は、その登記の順位によって優劣が決まります。
 なお、抵当権を実行(一方的に換価(競売))するまでは、借主(債務者)は担保として提供した不動産の所有者たる地位を失うことはなく、その不動産の占有(使用、収益等)を継続できますので、住宅ローン等の場合に多く利用されています。

② 抵当権の被担保債権とは

抵当権の被担保債権とは、担保される債権(貸金等)のことです。被担保債権の種類には制限がなく、また、抵当権設定時に被担保債権が現実に発生していない場合、例えば将来発生する可能性が法律上存在する債権(求償債権等※)、条件付債権についても抵当権を設定することができます。その他に、金銭債権以外の給付を目的とする債権等(動産の返還請求権等)も被担保債権とすることができます。

※求償債権とは…金銭消費貸借契約等において、債務者に代わって債務を弁済した者
(保証人等)が、その債務者に対して弁済額の返還を求める権利のことをいいます。

【抵当権のポイント】

  1. 目的物(担保)は主に不動産である(※動産は不可)。
  2. 抵当権者は担保不動産を占有しない。
  3. 登記をしなければ第三者(他の債権者等)に対抗(主張)することができない(民法177条)。
  4. 被担保債権の種類に制限がなく、将来発生する可能性が法律上存在する債権、条件付債権も被担保債権となりうる。