平成25年9月4日に最高裁判所が決定した判決が話題となりました。
 この裁判は、妻と内縁女性との間にそれぞれ子供をもうけていた男性が亡くなって発生した遺産相続問題でした。

 問題となっていたのは民法900条4号ただし書の規定のうち、嫡出でない子(非嫡出子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分が憲法14条1項に違反しているのではないか、という点です。
 民法900条4号「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出子でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」と規定されていました。そして、憲法第14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」と規定されております。非嫡出子というのは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子供を意味します。
 そして、最高裁判所は違憲判決を出しました。この判決に伴い平成25年12月5日に上記のただし書きの規定を削除し嫡出子と非嫡出子の相続分を同等にする改正が行われました。

 なぜ違憲判決が話題になったのでしょう?
 それは、これまで法律婚を重視してきた日本にとって、嫡出子と非嫡出子を平等に扱うという点に驚いたからではないしょうか?

 近年は、晩婚化、未婚化、離婚率の増加など家族の形態は多様なものへと変化しており、非嫡出子の出生率も諸外国と比べると少ないですが増加しています。
 最近では元フィギュアスケート選手の安藤美姫さんが未婚での出産を選択しましたし、海外では事実婚も多く、婚外子も増加してきているようです。
 確かに、子供は親を選択できません。たまたま結婚していない両親の元に生まれただけでいろいろな差別を受けるのは、不平等というものです。
 今回の法改正も、時代の流れに沿ったものかもしれませんが、まだ法律婚を重視する日本では違和感があるように思います。

 家族の形態が多様なものへと変わっていく中、子供たちが差別を受けて傷つくことを避けられるように法改正や自治体での保障などを手厚くしていくことや、親になる人たちのモラルも問われているのではないでしょうか?