抵当権や根抵当権の抹消登記手続きを行う場合、「年月日弁済」や「年月日解除」など登記原因はいくつかありますが、これらの登記原因は事案によって使い分けられています。ここでは、よく使われる主な(根)抵当権抹消の登記原因についてご説明いたします。
【(根)抵当権抹消の登記原因】
- 弁 済:債務者が(根)抵当権者に対し、借り入れた金銭等全額を返済することにより被担保債権が消滅し、付従性(※)により(根)抵当権も消滅する場合(ただし、下記《ここに注意!》参照)
- 解 除:(根)抵当権者からの意思表示で(根)抵当権設定契約(又は被担保債権の発生原因たる契約)を終了し、(根)抵当権が消滅する場合(当事者間の合意による契約関係の終了の場合には「合意解除」とする場合もある)
- 主債務消滅:保証委託契約による保証人(保証会社)の求償債権を担保している(根)抵当権において、主債務者から弁済があった場合(ただし、下記《ここに注意!》参照)
- 放 棄:(根)抵当権者が(根)抵当権設定者(所有者)に対し、(根)抵当権自体を放棄して消滅させる場合、又は、(根)抵当権者が被担保債権を放棄し付従性によって(根)抵当権が消滅する場合
※付従性・・・債権(主たる権利)が成立しなければ(根)抵当権等の担保物権も成立せず、債権(主たる権利)が弁済等により消滅すれば(根)抵当権等の担保物権も消滅するように、ある権利がその成立・存続・態様・消滅等において主たる権利と運命を共にする性質
《ここに注意!》
元本確定前の根抵当権については、極度額の範囲で該当する債権が全て担保され、被担保債権が確定しないため、被担保債権が消滅しても付従性により根抵当権が消滅することがありません。よって、未確定根抵当権においては、「弁済」や「主債務消滅」が登記原因となることはありません。
◆まとめ◆
抵当権・確定根抵当権…上記①~④すべての原因で登記可。
確定前根抵当権…解除(※1)、放棄(※2)で登記可。弁済、主債務消滅は不可。
※1 根抵当権設定契約の解除の場合に限る。
※2 根抵当権自体の放棄の場合に限る。「年月日根抵当権放棄」とする場合もある。